たまりば

多摩の地域情報 多摩の地域情報調布市 調布市

2017年07月12日

演劇コンクール・稽古場突撃インタビュー! 「Pityman」

第8回せんがわ劇場演劇コンクール出場団体の稽古場に、次世代芸術家グループのメンバーが訪問してインタビュー!全6団体、順不同でお届けします。

今回は、佐川大輔さんが仙川近くの入間に伺って、主宰で作演出家の山下由さんにお話を伺いました。

「劇団の成り立ち」を教えてください。

山下
最初は僕一人で始めました。というのも、桐朋を卒業してから、ロジカルな演出の勉強しようと、海外へ短期留学しまして。帰国後も色々な劇団で演出助手をしながら学び、「さあ、いざ劇団を旗揚げ」と思ったら、かつての仲間の殆んどはすでに別の劇団に所属していて。(笑)でも、2011年、とにかく一人でも旗揚げして、公演を重ね、今では劇団員も増えました。

演劇コンクール・稽古場突撃インタビュー! 「Pityman」



活動について聞かせてください。

山下
年に2,3回のペースで、新作を発表してきています。最近は再演も行うようになってきていますね。僕は基本的に、作・演出ですが、どちらかと言えば、作家に比重を置いていると自分では思います。比較的ストレートな会話劇を書いていますが、時間場所が飛んでいく叙事詩的なものが特徴です。

コンクール参加の動機は?

山下
亡くなった劇評家の村井さんに「30才まではいろいろと失敗ができるので、挑戦して行け」と言われてまして、ぎりぎり30前なので応募しました。それに桐朋出身の僕にとっては、仙川は地元だし、稽古場も近いんで、ここはホームだなと。(笑)今まで、いくつかの賞レースであと一歩手が届かないという経験が多いので、そこを打破できればと思っています。また、個人的には演出家としての自分に課題があるので、コンクールで多くの方に見てもらい、意見を貰うことで成長したいなと考えています。


演劇コンクール・稽古場突撃インタビュー! 「Pityman」
Pityman「ぜんぶのあさとよるを」 撮影:阿萬芽衣 会場:pit北/区域

今回は、どんな作品でしょうか?

山下
「ぞうをみにくる」は若い頃に書いた作品の再演です。初演は、僕の親友の実話をもとにしていて。震災後、福島にボランティアで長期滞在していた親友が、東京の彼女と長距離恋愛をしているときのエピソードがモチーフです。初演時は60分の作品だったのですが、40分にブラッシュアップし、かなりわかりやすくなっていると思います。二人芝居なので、戦うようにしゃべり、揺らいでいく二人の関係性に注目してほしいですね。

作家としてのこだわりは?

山下
こだわりと言われると。(笑)ただ「悲しくさせるために人を殺さないこと。完全な悪人、完全にいい人を出さない。」というルールは課しています。あ、それから、女の人を分かったようには書かないようにしてるつもりです。女の人って、やっぱりよくわからない。(笑)自分は中学生くらいの時、体がきゃしゃで中性的だったんです。だから「男らしい」ということへの苦手意識がある。だから、「男性らしさ」「女性らしさ」というジェンダーへのこだわりもあるかもしれませんね。

演劇コンクール・稽古場突撃インタビュー! 「Pityman」


今後の展望は?

山下
今、劇団としては変革期なんです。昔からの劇団員は演劇から離れている一方、新しい人も入ってきている。なので、劇団運営を安定化し、これからも演劇で生きていける状況を作ることが目標です。また個人としては、元々映画好きでもあるので、映像分野にも進出していきたいですね。


(インタビュアーの感想)
俳優さん自身の心理状態をカウンセリングしながら丁寧にリハーサルを行っており、リラックスしつつも、理知的な稽古場でした。また、演出助手など劇団員がそれぞれの役割を果たし、細かい部分まで意思疎通できているのは、劇団として積み重ねてきたキャリアも感じさせました。インタビューでの最後の一言は、「とにかく見てください、だけですね。」という山下さん。シャイな面はありますが、他のコンクール受賞歴もある実力派です。その秘められた強さにご期待を。

(インタビュー:次世代芸術家グループ企画運営部 佐川大輔 
インタビュー日: 7月5日)



7/15(土) 16:25 Pityman 『ぞうをみにくる』
公演詳細はこちら→ここをクリック!


演劇コンクール特設サイトはこちら→ここをクリック!

演劇コンクール・稽古場突撃インタビュー! 「Pityman」



  • 同じカテゴリー(演劇)の記事画像
    演劇コンクールスピンオフ企画「映像と生で楽しむリーディング」に向けて 【せんがわ劇場演劇チーフディレクター佐川大輔】
    演劇コンクールスピンオフ企画「映像と生で楽しむリーディング」に向けて 【せんがわ劇場演劇ディレクター櫻井拓見】
    演劇コンクールスピンオフ企画「映像と生で楽しむリーディング」に向けて 【せんがわ劇場演劇ディレクター柏木俊彦】
    演劇コンクールスピンオフ企画「映像と生で楽しむリーディング」に向けて 【せんがわ劇場演劇ディレクター桒原秀一】
    第10回せんがわ劇場演劇コンクール・オーディエンス賞受賞公演【世界劇団】「天は蒼く燃えているか」≪稽古場レポート≫
    第10回せんがわ劇場演劇コンクール講評 ~公社流体力学『美少女がやってくるぞ、ふるえて眠れ』~
    同じカテゴリー(演劇)の記事
     演劇コンクールスピンオフ企画「映像と生で楽しむリーディング」に向けて 【せんがわ劇場演劇チーフディレクター佐川大輔】 (2020-10-20 11:02)
     演劇コンクールスピンオフ企画「映像と生で楽しむリーディング」に向けて 【せんがわ劇場演劇ディレクター櫻井拓見】 (2020-10-20 11:01)
     演劇コンクールスピンオフ企画「映像と生で楽しむリーディング」に向けて 【せんがわ劇場演劇ディレクター柏木俊彦】 (2020-10-20 11:01)
     演劇コンクールスピンオフ企画「映像と生で楽しむリーディング」に向けて 【せんがわ劇場演劇ディレクター桒原秀一】 (2020-10-20 11:01)
     第10回せんがわ劇場演劇コンクール・オーディエンス賞受賞公演【世界劇団】「天は蒼く燃えているか」≪稽古場レポート≫ (2020-03-04 13:07)
     受賞者インタビュー(3)  公社流体力学 太田日曜さん(グランプリ・俳優賞) (2019-09-28 09:17)

    ※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
    上の画像に書かれている文字を入力して下さい
     
    <ご注意>
    書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

    削除
    演劇コンクール・稽古場突撃インタビュー! 「Pityman」
      コメント(0)