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2015年10月20日

受賞者インタビュー(2) LiveUpCapsules・村田裕子さん(脚本賞)

脚本賞 村田裕子さん

―よろしくお願いいたします。今回「ふみ」という作品で脚本賞、おめでとうございます。

村田 ありがとうございます。

―あれからだいぶ経ちましたけれど、受賞された喜びというのはまだふつふつとありますか?

村田 賞をいただいたことがないので本当に嬉しいです。稽古しながら本を練り上げていくところもあり、ご参加の皆様あっての結果だと思っております。また、お祝いのお言葉を沢山いただきました。ありがとうございます。

―それでは劇団の紹介もお願いいたします。

村田 学生の頃から学内で芝居をしていて、卒業した2001年にそのまま自分で団体作って続けています。5年くらい前から歴史物を書いてます。

―年間何本ぐらい書いていらっしゃるんですか?

村田 年1~2本くらいです。のんびりペースです。

―前はどんな脚本だったんですか?

村田 初めは、少女漫画チックなファンタジーでした。その頃は、芝居の設定が分かり難く、楽しめないと言われた事もあり、悩みもありました。途中から、ファンタジーですけど時代設定だけ借りて花魁の話を書いたりしている内に、徐々に時代に即したものを書くようになりました。

―今回のお芝居はかなり歴史の中でのリアリティーだったと思いますが、与謝野晶子を選んだ理由というのは?

村田 2011年に初演をして、いつか再演したいと機会を狙っていた作品でした。初演時は、教科書で反戦歌として習った、与謝野晶子の『君死にたまふことなかれ』が発表当時物議をかもしたということを知り、こんな事があったんだというのが興味深かったのでした。
日露戦争真っ只中で、この詩を歌う晶子の衝動はなんだったんだろうとか、それに対して、当時の人々はどう受け取ったのだろう、とか芝居に出来たら面白いなぁと思って書き始めたんですね。

LiveUpCapsules「ふみ」



―初演はそういう感じで、今回とは変わった点はありますか?40分という時間はありますが。

村田 40分枠の上演に追われてしまい、事実を並べる脚本になってしまったと思ってます。(講評で)「記憶を見たいんです、記録じゃなくて」というのはもっともだと思っています。
また、物を創る人は、その衝動に自由であれ。周囲が制限をかけてはいけないっていうことを、整理しているうちに、それをそのまま説明のようにセリフに言わせてしまっていたところもあり、脚本としてはなんとも、薄っぺらくなってしまったなぁと思いました。

―実際の芝居を見て評論家が時代の流れの中で変わっていくじゃないですか。手のひらを返すように当時の空気に迎合していく。

村田 そうなんです。初めは創造者たる詩人は自由であれ、と晶子の味方であった評論家大町桂月先生なんですが、彼としてはそんなに変わっているつもりないけれど、時代の流れの中で、まるっきり違う事を言っている、晶子を批判する立場へと変わってきてしまう。
きっと、今ならネットなんでしょうね。反響が一気に広がりますし、怖いと思うことがあります。自分が自分であり続けるということが思った以上に大変に思います。
今回の作品をご覧いただいた方から、今この作品をやることに対して胸に迫るものがあった、というお言葉をくださった方がいらっしゃいました。
思った以上に自分の作った芝居の熱量がお客さんに届いたようで、それは大変嬉しく思いました。ただ、日露戦争と今の時代とが重なってしまうというのは、もしかしたら余り良い時代ではないのかもしれないな、とも思っています。

―脚本を拝見すると、台詞の力があって、かなり調査して文献読まれるんですね。
LiveUpCapsules「ふみ」

村田 そうですね。出来るだけ実際にあった話の資料を読みます。そうするとまた別の逸話を知って、次の脚本はこの題材かな、なんてことになったりもします。

―舞台に上げるまでそういう部分もあるんですね。

村田 なので、自分一人盛り上がりってしまうことがあったり、また事実に嘘をついちゃいけないという思いが強かったりしまして、それをちゃんと整理して作品としてもう一つ面白いものに仕上げきれていなかったように思います。

―確かにテレビでも歴史物はフィクションがありますものね。

村田 そうなんです。面白く見せれば良かったんだなって。でもそれがなかなかに難しいんです。

―せんがわ劇場で初めてやられたわけなんですが、劇場の印象とかいかがでしたか?

村田 すごい良い劇場ですよね。今年3月に昨年優勝団体の観劇で初めて劇場に来たんです。こんなにきれいな劇場が駅から近くて素敵じゃないって思い、コンクールに応募しました。
運営の方々が過去コンクールに参加した方々というのもあり、皆様温かい方々で優しい空気だなって思いました。

―最後にこれからの活動の予定をお願いいたします。

村田 来年の1月に王子小劇場で画家の話をやります。私は絵が好きなので。今、次の作品の下調べ中です。大体何ヶ月間か本を読んだりとかするので、なかなか本が遅いんですよね。

―年に1~2本というのはそういうことなんですね。

村田 そうなんです。のんびりやってます。

―どうもありがとうございました。



■村田裕子  LiveUpCapsules
2001年に旗揚げ。全ての作・演出を村田裕子が行っている。
作品の特徴は、全公演にて、多面舞台(多面客席)の舞台創りを継続して行う。
2010年からは日本の歴史を題材にし、今の日本に通じる問題を抉り出す作品を作り出す。
2014年8月、アメリカ、ニューヨーク市で行われる演劇フェスティバル FringeNYCに参加。


写真撮影:青二才晃(せんがわ劇場市民サポーター)


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