2014年06月05日
サンデー・マティネ・コンサートvol125
5月25日に行われたサンデー・マティネ・コンサートVol.125の様子をライターであり、市民サポーターでもある才目さんによるレポートでお届けします。
~~~~~~~~~
2014年5月「サンマチ」Vol. 125は、読売日本交響楽団の首席オーボエ奏者・蠣崎(かきざき)耕三氏をお迎えしました。
ピアノ伴奏は三輪 郁さん。
ベスト・コンビによる待ちに待ったオーボエ・ミニコンサートは、早々に満員御礼。
日本を代表する演奏家の卓越した「技」に陶酔し、清らかな音と音楽に心洗われる「至福の朝」となりました。
毎回お越しくださる“常連”のお客様に加えて、「今回のサンマチは絶対聞き逃せない」と駆けつけてくださった音楽ファンの方々。
開演前から満席の劇場内に静かな熱気が満ちあふれます。
フランス印象派の名曲・ドビュッシーの「夢」から始まった「オーボエの世界」。
華麗な音色が響きわたると、早くも聴衆は夢見心地の境地に誘われます。
2曲目は、サン=サーンスが晩年に作曲した『オーボエ・ソナタ』第2楽章。
フランスの田舎で村人がお祭りで踊っているようなリズムと曲想に乗って、蠣崎氏の技巧が披露されます。
牧歌的な田園風景がまるで目に見えるような素晴らしい演奏です。
それにしても何という滑らかな音、清らかな響きでしょう。
「家路」の別名で知られるドヴォルザーク『新世界より』第2楽章の独奏部分など、オーケストラ演奏の中でオーボエの音を聴くことはあります。
しかし、単体でオーボエの音色をこれほど身近に聴くことができるチャンスはめったにありません。
数ある楽器の中でももっとも演奏が難しいと言われるオーボエ(「難度はギネスブック級」との説もあるそうです)。
「サンマチ」司会役のせんがわ劇場・萩原景子さんの進行とともに、「オーケストラが演奏を始める前、音合せをしますよね。その基準音(A;♪ラ)を出すのがオーボエなんです」と、蠣崎氏の分かりやすい楽器解説が入ります。
オーボエの特徴は、2枚のリードによって音をだすダブルリード式の木管楽器であること。
リードは「オーボエの命」。楽器をめぐって、蠣崎氏と萩原さんの楽しいトークが展開します。
「リードは自然素材です。ケーンという葦(あし)の一種を取り寄せ、演奏者自身が削り、金属管に糸で巻きつけ、手作りします。
このリードの出来によって、オーボエの音色が決まります。1日4時間練習するとして、3時間半はリード削りと調整です」と蠣崎氏。会場から「へぇー」と驚きの声が上がります。
ピアノ伴奏をしてくださった三輪 郁さんも加わり、今回の「サンマチ」はトークも大盛り上がり。
ウィーン国立音楽大学出身の三輪さんは、ウィーン・フィルの主席演奏者たちから絶大な信頼を寄せられる国際的なピアニスト。蠣崎氏のたっての希望により共演が実現し、オーボエの音色にさらに華を添えます。
続くドビュッシー「小舟にて」、ラストにはプーランク『オーボエ・ソナタ』第1楽章と、
今回の演目は、「料理で言えばデザート・ヴァイキングですね(笑)」と演奏家が言うように、おいしいところをギュッと詰め込んだようなフランスの作曲家の曲が多く取り上げられました。
そのせいか、間に演奏されたイヴァン・リンスの「ラヴ・ダンス」、アントニオ・カルロス・ジョビンの「ルイーザ」、
これらブラジル生まれのバラード曲も雰囲気が違ってたいへん美しく聴こえます。
しかし、なんといっても真骨頂はアンコール曲でした。バッハ作曲カンタータ第156番(アリオーソ)。
長いフレージングを要求するこの曲を演奏し切る、その技倆の高さは見事というほかはありません。
お客様は、オーボエの深みのある音色にさらに心打たれ、癒やされた様子。
このアンコール曲に思い入れのある方も多かったようで、蠣崎氏の演奏をもっと聴いていたという思いが募ります。
幸せな時間は短く感じるもの。あっという間の1時間。称賛とともに、「満足」「もっと聴いていたい」の思いが入り混じったお客様の拍手は、演奏家にしっかり伝わったようです。またの機会を心待ちにいたしましょう。
若手音楽家のフレッシュな演奏、世界の珍しい楽器の紹介、そして今回は日本屈指の「ヴィルトゥオーゾ(達人)」の演奏。
さまざまな趣向で市民に「贅沢な時間」を提供してくれる、せんがわ劇場の「サンマチ」。
これからも日曜朝の好企画にご期待ください。
(取材・文/ライター 才目)

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2014年5月「サンマチ」Vol. 125は、読売日本交響楽団の首席オーボエ奏者・蠣崎(かきざき)耕三氏をお迎えしました。
ピアノ伴奏は三輪 郁さん。
ベスト・コンビによる待ちに待ったオーボエ・ミニコンサートは、早々に満員御礼。
日本を代表する演奏家の卓越した「技」に陶酔し、清らかな音と音楽に心洗われる「至福の朝」となりました。
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毎回お越しくださる“常連”のお客様に加えて、「今回のサンマチは絶対聞き逃せない」と駆けつけてくださった音楽ファンの方々。
開演前から満席の劇場内に静かな熱気が満ちあふれます。
フランス印象派の名曲・ドビュッシーの「夢」から始まった「オーボエの世界」。
華麗な音色が響きわたると、早くも聴衆は夢見心地の境地に誘われます。
2曲目は、サン=サーンスが晩年に作曲した『オーボエ・ソナタ』第2楽章。
フランスの田舎で村人がお祭りで踊っているようなリズムと曲想に乗って、蠣崎氏の技巧が披露されます。
牧歌的な田園風景がまるで目に見えるような素晴らしい演奏です。
それにしても何という滑らかな音、清らかな響きでしょう。
「家路」の別名で知られるドヴォルザーク『新世界より』第2楽章の独奏部分など、オーケストラ演奏の中でオーボエの音を聴くことはあります。
しかし、単体でオーボエの音色をこれほど身近に聴くことができるチャンスはめったにありません。
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数ある楽器の中でももっとも演奏が難しいと言われるオーボエ(「難度はギネスブック級」との説もあるそうです)。
「サンマチ」司会役のせんがわ劇場・萩原景子さんの進行とともに、「オーケストラが演奏を始める前、音合せをしますよね。その基準音(A;♪ラ)を出すのがオーボエなんです」と、蠣崎氏の分かりやすい楽器解説が入ります。
オーボエの特徴は、2枚のリードによって音をだすダブルリード式の木管楽器であること。
リードは「オーボエの命」。楽器をめぐって、蠣崎氏と萩原さんの楽しいトークが展開します。
「リードは自然素材です。ケーンという葦(あし)の一種を取り寄せ、演奏者自身が削り、金属管に糸で巻きつけ、手作りします。
このリードの出来によって、オーボエの音色が決まります。1日4時間練習するとして、3時間半はリード削りと調整です」と蠣崎氏。会場から「へぇー」と驚きの声が上がります。
ピアノ伴奏をしてくださった三輪 郁さんも加わり、今回の「サンマチ」はトークも大盛り上がり。
ウィーン国立音楽大学出身の三輪さんは、ウィーン・フィルの主席演奏者たちから絶大な信頼を寄せられる国際的なピアニスト。蠣崎氏のたっての希望により共演が実現し、オーボエの音色にさらに華を添えます。
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続くドビュッシー「小舟にて」、ラストにはプーランク『オーボエ・ソナタ』第1楽章と、
今回の演目は、「料理で言えばデザート・ヴァイキングですね(笑)」と演奏家が言うように、おいしいところをギュッと詰め込んだようなフランスの作曲家の曲が多く取り上げられました。
そのせいか、間に演奏されたイヴァン・リンスの「ラヴ・ダンス」、アントニオ・カルロス・ジョビンの「ルイーザ」、
これらブラジル生まれのバラード曲も雰囲気が違ってたいへん美しく聴こえます。
しかし、なんといっても真骨頂はアンコール曲でした。バッハ作曲カンタータ第156番(アリオーソ)。
長いフレージングを要求するこの曲を演奏し切る、その技倆の高さは見事というほかはありません。
お客様は、オーボエの深みのある音色にさらに心打たれ、癒やされた様子。
このアンコール曲に思い入れのある方も多かったようで、蠣崎氏の演奏をもっと聴いていたという思いが募ります。
幸せな時間は短く感じるもの。あっという間の1時間。称賛とともに、「満足」「もっと聴いていたい」の思いが入り混じったお客様の拍手は、演奏家にしっかり伝わったようです。またの機会を心待ちにいたしましょう。
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若手音楽家のフレッシュな演奏、世界の珍しい楽器の紹介、そして今回は日本屈指の「ヴィルトゥオーゾ(達人)」の演奏。
さまざまな趣向で市民に「贅沢な時間」を提供してくれる、せんがわ劇場の「サンマチ」。
これからも日曜朝の好企画にご期待ください。
(取材・文/ライター 才目)

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