2017年10月03日
受賞者インタビュー(4) くちびるの会 山本タカさん(オーディエンス賞)
このたびはオーディエンス賞の受賞、おめでとうございます。実感のほどはいかがでしょう。
山本 コンクール自体が一日で仕込んでバラしてというものだったので、(賞を)もらった時も実感がなくて、夜、座組みのみんなと飲んだときにじわじわ実感がわいてきました。それから他の現場に行って時「おめでとう」って言ってもらえることもあって、みんなに知ってもらっているんだなと、だんだん嬉しく思っています。
今回の作品に関しては、どんなところを見てほしかったですか。
山本 僕の中では、「みんな生きている」、「生きなきゃならない」ということがテーマで作品を書いて演出をしていました。
大きな事件や事故があった時は、当事者たちも、周りにもすごい衝撃が走る。その時は、目の前が真っ暗になったり、どうしていいのか、これから生きていけるのか、みたいなことを思ったりするけれど、でもやっぱり人間って生きていくんだと思います。生きるために、自分の中で処理していく。そうしなくちゃならない。
抽象的になってしまいますが、そういうことが描けたらと思っていました。観た人には、人の生きている姿が伝われば思います。
いろんな大きな事件や、災害が起こったとき、社会全体の意思が振り子が揺れるようにある方向に寄ってしまったりとか(肯定否定含めて)ありますが。
山本 事件が起きてしばらくすると、どうしても事件当初の衝撃だったり感情だったりが、形を変えるんですね。変質してしまったりするんですね。それはもうある種、自明のことだと思っています。
その前提に立った上で、今回の作品では、当時の時間を見つめていた目を、今の僕たちに持てないかを書きたかったんです。薄れていくことは分かっているし、記憶が移っていくのは当たり前のことだけど、じゃあどうしたら当時の生の時間を感じられか。これが今回の作品での挑戦でした。
くちびるの会はそういうことをテーマにずっと作品を作り続けてきたんですか。
山本 記憶とか時間、時代とかを扱うことが多いです。過去にも、過去を回想する列車を回想列車と名付けて、時間を巡る作品をやったこともありましたし、前回吉祥寺シアターでやった時も、忘れ去られた昭和のヒーローや寵児を取り扱ったりしました。
過去のものを現代とリンクさせる作業ですか。
山本 それは最近、特に意識的に行っています。僕自体が演劇をやる時にもついつい昔あったようなお芝居をやってしまいがちになってしまいます。僕自身、アングラと呼ばれるお芝居が好きで、お芝居を始めたので。それに影響を受けた僕らが表現するときには、どうやったら良いかどうやって現代の中で出していくかっていうのは、かなり意識的に行っています。「懐かしい」という感想だけで終わっちゃうような作品にはしたくないと思っています。
今回ご自分の作品がオーディエンス賞を取った要素って、何だったと思いますか。
山本 要素は、わからないですね(笑)。
受賞のときも壇上でご挨拶させていただいたんですが、くちびるの会が山本タカの単独プロデュースユニットで、今回コンクールに応募することになって、「ちょっと助けてくれないか」と言ったらなじみのキャストとスタッフが「いいよ」って言ってくれていろいろ力を貸してくれました。今まで一緒にやってきてくれたメンバーでもあるんですけれど、彼らが僕のやりたいことを整えて届けてくれたのが一番だったんじゃないかなと思います。僕一人じゃなくて本当にみんなのお陰だと思います。
講評はどう思いましたか。
山本 講評は仰るとおりだと思いました。
僕の中でも常に戦っている問題だったり、自分の中で課題だなって思う部分を突いていただきました。特に、「どこにでもある物語のような気がする」って仰っていただいたことはすごく率直で、ありがたかったです。
僕の中では、もちろんこれは僕の物語だと思って書いているんですが、そういう風に受け取られる懸念はゼロではなかった。そこでどうやってこれから僕だけの目線を持った作品として、面白いと思える形でお客さんに届けられるかは、やはり講評を聞いて課題だなと思いました。もっともっと詰めなくちゃいけないなと思いました。
それを踏まえたうえでのオーディエンス賞受賞公演が来年4月にあるんですけれど、構想はありますか。
山本 まだ正直全然なくて、この「プールサイド」も去年の12月くらいに構想があったのを今回上演できたので、来年の4月のことは何をやりたいだろう、何を書きたいだろう、どんな空気を作りたいだろうということを、たぶん一から考えないとなぁと思っています。
でもとにかく、新作書きたいなというのはすごくあります。もっともっと挑戦したい部分もあるし、新しい演出にも挑戦したいと思います。
ありがとうございました。
山本 事件が起きてしばらくすると、どうしても事件当初の衝撃だったり感情だったりが、形を変えるんですね。変質してしまったりするんですね。それはもうある種、自明のことだと思っています。
その前提に立った上で、今回の作品では、当時の時間を見つめていた目を、今の僕たちに持てないかを書きたかったんです。薄れていくことは分かっているし、記憶が移っていくのは当たり前のことだけど、じゃあどうしたら当時の生の時間を感じられか。これが今回の作品での挑戦でした。
くちびるの会はそういうことをテーマにずっと作品を作り続けてきたんですか。
山本 記憶とか時間、時代とかを扱うことが多いです。過去にも、過去を回想する列車を回想列車と名付けて、時間を巡る作品をやったこともありましたし、前回吉祥寺シアターでやった時も、忘れ去られた昭和のヒーローや寵児を取り扱ったりしました。
過去のものを現代とリンクさせる作業ですか。
山本 それは最近、特に意識的に行っています。僕自体が演劇をやる時にもついつい昔あったようなお芝居をやってしまいがちになってしまいます。僕自身、アングラと呼ばれるお芝居が好きで、お芝居を始めたので。それに影響を受けた僕らが表現するときには、どうやったら良いかどうやって現代の中で出していくかっていうのは、かなり意識的に行っています。「懐かしい」という感想だけで終わっちゃうような作品にはしたくないと思っています。
今回ご自分の作品がオーディエンス賞を取った要素って、何だったと思いますか。
山本 要素は、わからないですね(笑)。
受賞のときも壇上でご挨拶させていただいたんですが、くちびるの会が山本タカの単独プロデュースユニットで、今回コンクールに応募することになって、「ちょっと助けてくれないか」と言ったらなじみのキャストとスタッフが「いいよ」って言ってくれていろいろ力を貸してくれました。今まで一緒にやってきてくれたメンバーでもあるんですけれど、彼らが僕のやりたいことを整えて届けてくれたのが一番だったんじゃないかなと思います。僕一人じゃなくて本当にみんなのお陰だと思います。
講評はどう思いましたか。
山本 講評は仰るとおりだと思いました。
僕の中でも常に戦っている問題だったり、自分の中で課題だなって思う部分を突いていただきました。特に、「どこにでもある物語のような気がする」って仰っていただいたことはすごく率直で、ありがたかったです。
僕の中では、もちろんこれは僕の物語だと思って書いているんですが、そういう風に受け取られる懸念はゼロではなかった。そこでどうやってこれから僕だけの目線を持った作品として、面白いと思える形でお客さんに届けられるかは、やはり講評を聞いて課題だなと思いました。もっともっと詰めなくちゃいけないなと思いました。
それを踏まえたうえでのオーディエンス賞受賞公演が来年4月にあるんですけれど、構想はありますか。
山本 まだ正直全然なくて、この「プールサイド」も去年の12月くらいに構想があったのを今回上演できたので、来年の4月のことは何をやりたいだろう、何を書きたいだろう、どんな空気を作りたいだろうということを、たぶん一から考えないとなぁと思っています。
でもとにかく、新作書きたいなというのはすごくあります。もっともっと挑戦したい部分もあるし、新しい演出にも挑戦したいと思います。
ありがとうございました。
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