第9回せんがわ劇場演劇コンクール 専門審査員講評(1) 「コトリ会議」

せんがわ劇場

2018年09月09日 17:11

※掲載の文章は、第9回せんがわ劇場演劇コンクール表彰式の際、専門審査員から各劇団にむけて語られた講評を採録・再構成したものです。




■野上絹代

コトリ会議さんは思わずクスッとしてしまう台詞のやり取りがとても魅力的でした。ただ、編集で短くした感じが否めないというか、所々腑に落ちない部分がありました。例えば母の存在。地球が終わるときにロマンチックでない感傷的ではないアプローチも観てみたかったです。


■常田景子

台詞がとても良かったです。長さについては、凝縮されていれば短くてもいいとは思いましたが、ちょっとものたりない感じがしました。個人的な意見ですが「チラ美のスカート」というタイトルなので、衣装のスカートそのものがもうちょっと素敵だったらよかったと思います。


■土田英生

台詞が相当面白かったです。設定の飛ばし方やリアリティーの作り方がとても優れていた。ただ、時間の感じさせ方に問題がある。実際の長さではなく、了解感を持たせることが必要だと思う。あと、オープニングシーンが長すぎる。告白があって、タイムスリップして……そこまではあのカップルの話しかない。途中になんかあれば全然違ったと思うんですけど、最後に戻ってきて3周目だというとき時、やっと戻ってきたというのが全く感じられない。時間を軸にしているだけにそこがもったいないと思いました。


■佐川大輔

演劇として巧みな作品だと思いました。脚本として読んだ時に、読みものとしてとても面白いです。地球滅亡という状況ですが、俳優さんたちの演技は抑制が効いていて、品もあり、説得力を感じました。また世界観がおもしろいです。例えばタイムマシンが小さな箱だったり、かもめが飛ぶシーン、などシリアスな状況でありながらも演出がどこかまぬけな感じで、照明を押さえた舞台に波の音が流れる暗い演出と、そうじゃない物を同居させているところにも演出としての美学やセンスを感じます。世界観としては、この作品は完成度が高いと思います。また死ぬシーンで、でんぐり返しをするところは演劇的なことをよくわかって作っていると思いました。残念だったところは、30~40分の制限時間が22分であったというのは、やはり物足りないです。時間制限も審査対象になりますので、それもクリアしていく事も今後のコンクール活動では必要だと思います。


■熊井玲

台詞が素晴らしかったです。あれだけシリアスな空気のなかでお客様の笑い声が聞こえるというのはやはり台詞がいいから、台詞が届いているからだと思います。私の好きな作品の傾向というのもあるかもしれませんが、世紀末感、地球滅亡の大きな事と目の前の二人の未来をどうするかという、この2つがすごく昇華できている素敵な作品だと思いました。もう少し長く先が観たかったというもの足りなさはありますが、すごくよかったなと思います。


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写真撮影:青二才晃(せんがわ劇場市民サポーター)





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