「海外戯曲リーディング」佐川リポートその9
全作品についてお届けしてきた佐川リポート、最後の作品は、今日初日を迎えるアメリカ作品「セブン・メニュー」です。
戯曲はアメリカのデヴィッド・アイヴスの作。彼は短編演劇の巨匠と言われるほど、多くの優れた短編を世に送り出しています。
今回の海外戯曲リーディングは、「一時間前後の作品」という枠で戯曲を選考しました。というのも、欧米では短い作品を二本立てで上演することも珍しくないのですが、日本は短編を紹介する機会に恵まれないからです。そういう意味で、この戯曲は今回の企画にぴったりといえるかもしれません。
舞台は、あるレストランのボックス席。2組のカップルが仲良く会話しているのですが、突然ストップし、場面が切り替わります。
と、次の場面もやはり2組のカップルが座っているのですが、片方のカップルの彼氏が違う人物になっており、女たちは元彼の悪口などを話している。こんな感じで、同じレストランのボックス席に、色々な人が登場し、その人物たちのエピソードが繋がっていくという、ちょっと不思議な構成の戯曲です。
演出家は俳優座の宮崎真子さん。宮崎さんの演出は、台本分析が恐ろしく綿密で、稽古初日に用意された演出ノートの膨大さには舌を巻きました。それらを基盤にした演出プランも細部までビジョンが明確で、独創的な世界観があります。とはいえ、そのプランを押し付けず、8名の俳優陣の豊かな個性を引き出す技は流石です。
実は、7作品中で最多俳優数の座組なのですが、上演時間は最短の40分。さらに40分しかないのに場面が7つもある、というちょっと珍しい戯曲「セブン・メニュー」。断片的な場面の連続から、現代が透けて見えるかもしれません。
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