せんがわシアター121vol.7「黄昏の光芒~ドン・キホーテへのオマージュ~」出演者インタビュー(1) 新井純さん
これから、せんがわシアター121vol.7「黄昏の光芒~ドン・キホーテへのオマージュ~」の出演者の皆さんを、せんがわ劇場HPの中でご紹介していこうと思います。まず第1回目は、浅野京子役の新井純さんにお話しをうかがいます!
―浅野京子という役は謎の女性で、本来は他人でありながら、木波多勝太郎の夢の世界につきあって、もういないはずの妻(幸枝)や娘(枝美子)となって一緒に暮らしているという役どころです。
浅野京子とご自身とで違う部分、また同じ部分はどんなところですか?
様々な役をやりますが、いつも必ず自分とだぶる部分がありますね。人間って、幅広いものを潜在的に持っていて、何かが起こると、その都度違う面が出て来る。だから私は、役をつくる時には規制しないようにして、この考え方はすごく似てるなぁ、とか、こんな面があるのかなぁとか、探りを入れていくっていうやり方をしているんです。
今回は、いろんなことに流されてしまうような、意思を持たない女性の役ですが、私もずっと以前は、いい子にしていようとして、自分をあまり主張しなかったんです。昔は「人の嫌がることはよしなさい」とか「人に迷惑をかけるんじゃありません」「そんな恥ずかしいことするんじゃありません」とか、そういう風に育てられたじゃない?だから、そういうものだなと思って生きていたんだけど、どうも私の本性は、物事をすごくはっきりさせることが好きみたい(笑)。
それとやはり、演劇をやるときには、自分の意思、判断力、決断力というのはとても重要だし、曖昧なだけじゃ芝居はできないので、自分をしっかり持とうとしてやっています。
―今回新井さんが演じる浅野京子という役は、謎の女性で、本来は他人でありながら、木波多勝太郎の夢の世界につきあって、もういないはずの妻(幸枝)や娘(枝美子)を演じながら一緒に暮らしているという役どころです。
浅野京子とご自身とで違う部分、また同じ部分はどんなところですか?
この京子さんという人は、勝太郎のままに、その人物になって過ごしていたのが、翔太さん(勝太郎の孫)と出会って、それは違うと気づいて変わっていく、やり直していくわけで、そういうところは共感できる部分ですね。
でも私だったらそもそも「枝美子さん」って呼ばれても、その人物になっちゃうかどうかはわからない。いえ違いますって言ってしまうかもしれない。
ただ、自分がそうしていると争いや諍いが起きないから心地いいという気持ちは、昔、いい子にしていようと思っていた頃の私と共通点があると思います。そんなところが面白いなぁと思って、日々お稽古しています。
やっぱり、お芝居って色んな役の人生を生きられるから面白いですよね。自分にないところはこうやってみようとか、飛躍する感じ、飛び込んでみようという感じがありますから、それは本当に面白いですよね。
―新井純さんは、アングラの女王と呼ばれた尊敬する女優さんですが、もし、このお芝居の登場人物のように生きなおせるとしたら、どうされますか。
そうね、私は、お医者さんになりたいかしらね。
―わかります。癒しというか、精神的な意味でのお医者さんですよね。
はい。そういうの、好きかもしれないわね。私、自分の子どもはいないんですけど、子どもが大好きなの。子どもからも好かれるんですよ。私自身も精神年齢が低いというか、子どもみたいなところがあるんだと思うんですけどね(笑)
―おおらかな、心の広い素敵な方だと思います。
なんか、ぼぉーっとしているのよね、私。今までの経歴があるから、とても怖い人って思われているんだけど、おっちょこちょいでね、全然違うの。
子どもたちを抱っこしてあげるのが好きで、難民の子どもたちとか病気で寝かされていたりするのを見ると、抱っこだけでもしに行ってあげたいと強く思います。
―最後に、お客さまへのメッセージをお願いできますか?
柴田千絵里さんがすばらしい台本を書いてくださって、若い出演者の方々もとてもいい雰囲気で稽古が進んでいます。楽しみなお芝居になると思います。
―ありがとうございました。
<新井純プロフィール>
俳優座付属養成所を卒業後、自由劇場を経て、1968年演劇センター68/71(現・黒テント)を結成。大型のテント劇場で全国各地への移動公演を行い演劇界に一大ムーブメントを起こす。75年には『安部定の犬』の主演で紀伊国屋演劇賞を受賞。『マクベス』(ベオグラード国際演劇祭特別賞)のマクベス夫人役で北欧などを歴訪。95年黒テントを退団しフリー。
せんがわシアター121vol.7「黄昏の光芒~ドン・キホーテへのオマージュ~」は来月2月17日(水)~21日(日)せんがわ劇場にて上演します。ただいまチケット絶賛発売中ですので、皆さまお誘いあわせの上、ぜひご来場ください。お待ちしております!
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