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2016年11月24日

サンデー・マティネ・コンサートVol.168 <箏アンサンブルの世界> 終演後インタビュー

お筝というと、何を思い浮かべますか?古典、お正月に聞くあのメロディー、着物姿・・・果ては金田一耕助の映画とか朝ドラとか・・・???ともかく、邦楽の伝統楽器というイメージをお持ちの方が圧倒的ではないでしょうか。今回お聴きいただいた二十五絃筝は、今年で25周年という新しい楽器でもあります。懐かしい音色でありながら、古典的な十三絃の箏とはまた違う、現代的な魅力をお楽しみいただきました。終演後、出演の花岡 操聖さん、吉葉 景子さん、金子 展寛さんにお話を伺いました。


―お疲れさまでした!金子さんは、以前2014年11月のサンデー・マティネ・コンサートvol.133<未来のホープ>にご出演いただきましたね。花岡さんと吉葉さんは、初めてのご出演ですね?

花岡 私は、たぶん二度目かと思います。一回出た記憶がありますね。

―それは失礼しました。今のお名前では記録されていなかったのですが、サンデー・マティネ・コンサートではこれまでも何度か箏を取り上げて、桐朋の学生さんに出ていただいたことがあります。その関係でしょうか?

花岡 そうです、たぶん。学生時代だと思います。

―吉葉さんの所属なさっている4Plusには、2011年8月に出ていただいていますが、その頃は吉葉さんは・・・

吉葉 加入前でしたので、サンデー・マティネは初めてですが、4Plus(のコンサート)では毎回使わせていただいていてホールはよくわかっていますし、すごく弾きやすかったです。お客さまが温かくて、終わったらすぐ拍手してくださるし、とても地域に根付いているコンサートなんだなと思いました。

金子 以前出させていただいて、その後、小学校むけの地域開放プログラムにも出演したので、3回ここの舞台を踏ませていただいています。それぞれ全然違うんですけれども、今回のお客さまもとても温かくて、好奇心というか「おもしろそう」という感じが伝わってきて、こちらもそれに応答するといいますか、すごく楽しかったです。


左から、吉葉 景子さん、花岡 操聖さん、金子 展寛さん


花岡 2人が言うとおり、ほんとに家族みたいな雰囲気、すごくあたたかい雰囲気があって、こちらも自然とほぐれてくる感じがしました。演奏の合間のお話での皆さんの反応も素晴らしいし、ずっと喋っていたくなってしまいますね。

それから、もともとお箏を知っていても、こういう新しい楽器を知りたいという姿勢がものすごく新鮮で、柔軟なお客さまだなあと思いました。「知っているもの」の中の「新しいもの」というのは、受け入れてくださらない時もあるんです。ですから今回、皆さんが楽器に対してあれほど興味を示して下さったというのはものすごく嬉しかったです。



―サンデー・マティネ・コンサートでは、さまざまな楽器や音楽も取り上げていますが、近年は「知らないジャンルや楽器だから来ない」のではなく、「今回はどんな音楽に出会えるかな?」と楽しみに考える、積極的なお客さまが増えてきている感じがします。

花岡 そうですね、その姿勢を皆さんに感じました。珍しいですよね、そういったお客さまが集まるコンサートというのは。

―さて、皆さんご自身についてお聞きします。二十五絃筝はできてから25年ですから、皆さんが最初に触れた箏は、やはり。

全員 十三絃ですね。

―そうですよね。そうしますと、キャリアの中で「二十五絃に出会ったとき」があると思いますが、その時のことを教えてください。

吉葉 私は、音楽大学でピアノを学んでいたんですが、お箏のコースも取っていて、それがきっかけで演奏会に行った時に聴いたのが、今日のプログラムにも入っていた「琵琶行」(※1)という曲だったんです。
とにかくすごい衝撃を受けて、二十五絃にとても興味を持ちました。その後、二十五絃箏が弾きたくて、そのために桐朋に入ったんです。それが初めての出会いでした。

―たしか、コンサート中に、金子さんも「この曲に出会って二十五絃筝をやろうと思った」とおっしゃっていませんでしたか?

金子 はい。

吉葉 さっき「私も」って言おうとしたんですけど、言いそびれました。

花岡 言えばよかったのに、私も私もって(笑)。

―金子さんにも、もう少し詳しくお聞きしていいですか?

金子 テレビで、野坂(恵子)先生(※2)が弾かれているのを・・・「邦楽技能者育成会50周年記念演奏会」(※3)を、テレビの映像越しで見たんです。その頃、僕は箏を始めてすぐだったので、全然、野坂先生という名前も存じあげなかったんですけど。

吉葉 それ、私(がさっき話したの)と同じ演奏会かも。NHKホールで、すごくスモークがたかれていて・・・

金子 そうそう。

吉葉 じゃあそうです。

―では、会場で聴いた方と、テレビで聴いた方、ともに同じ演奏で衝撃を受けていたんですね!

全員 (口々に)すごいね~。

―びっくりしました。

花岡 私の場合は2人よりほんのちょっと年がいっていまして(笑)、私は、小さい頃から野坂先生に習いに行っていたので、二十五絃筝ができる過程も小さいながらに見ていましたし、「琵琶行」の曲ができた時も知っています。
伊福部(昭)先生(※4)のお宅に一緒に立ち会わせていただいたりもして「琵琶行」ができあがっていく姿をずっと見ていましたから、かなり感慨深いものがありますね。
そして、私もお箏はもともと大好きでやってたんですけれども、本当にこれで生きていこうと決めたのは、やっぱり「琵琶行」を聴いてからなんです。だからこの3人、みんなそうなんだなって。

―本当ですか!?それはお互いにご存知でしたか?

吉葉 いやいや。

金子 知らなかった。

花岡 特にそんな話はしないよね。





―インタビューでお聞きできてよかったです。さて、最後の曲で低音の二十五絃筝が出てきました。さすがに絃も太いなと感じたんですが、あれを弾くのは大変ですか?

花岡 実は、今日弾いたのは私の楽器なんですよ。女性もみんな弾きます。

―通常の音階のものよりも体力は要るものですか?

花岡 低音域の琴では、もともと宮城道雄さん(※5)が考えた十七絃の箏がありましたから、糸の太さに関しては問題ないです。ただやっぱり、糸幅が狭くなりますし、絃も多いですから、それを全部駆使して弾くというのはなかなか難しいですね。でも、普通の二十五絃とまた違ったおもしろさがある楽器だなと思います。

―今日お聴きしていて、箏独特の音色というのを感じました。たくさん絃がある楽器でも、ハープと違って、絃自体の長さは同じですよね。だからでしょうか、音のたわみというんでしょうか、響きがちがうものだなあと。

花岡 やはり、鳴らし方はすごい繊細にやらないと。

金子 一本の絃を弾いた時に、こちら(柱で区切られた逆側)もやっぱり鳴っている。その時に触ってしまったりすると、ちょっと音が変わってきちゃったりとかするかなと思います。

―繊細ですね。

花岡 そうですね。一人一人、出す音が違います。他の楽器もそうだと思いますけれども。

―今日もそうでしたが、通常、複数の筝をとり替えながら演奏するものですか?

花岡 たとえばリサイタルだと、調絃の違うものを、最低2面はないとむずかしいですね。1面でやろうとすると、調絃をちょっと変えてできるような曲を続けてやるしかなくなるので、選曲が大変かもしれないです。

―となると、大きな楽器ですから、移動は車が必須ですか?

花岡 私は学生の時すぐに車の免許を取って、ずっと車で動いてるんですけど、たまに持ってない人がいるのは・・・みんなどうしてるんですか?あれは。

吉葉 私も車です。たぶんキャリーとか、工夫しているんじゃないでしょうか。

金子 僕は、今日は特別に車なんですけど、演奏会間近になってくると、よく抱え込んで電車乗ったりとかしています。けっこう迷惑がられます。

全員 (笑)

金子 まだ女性が持っていると、お箏かな?って思ってもらえるんですけど、男性が持つとスポーツ系の何かだと思われがちですね。

―いろいろご苦労があるんですね。今日はありがとうございました!



二十五絃筝に魅了されたきっかけになった曲が皆さん一緒だったとは、本当にびっくりしました。演奏家としての運命を変えるほどの衝撃を与える1曲であり、演奏会だったんですね。


※1・・・伊福部昭作曲 二十五絃箏曲 「琵琶行 ‒ 白居易ノ興二倣フ‒」(1999年)
※2・・・現・野坂操壽。箏曲家。1969年二十絃箏を開発、1991年二十五弦筝を発表。
※3・・・NHK邦楽技能者育成会50周年記念演奏会「日本音楽の祭典」(NHKホール・2005年)
※4・・・日本を代表する作曲家の一人。数多くのオーケストラ曲のほか、『ゴジラ』を初めとする映画音楽の作曲家としても知られる。
※5・・・明治27年生まれの作曲家・筝曲家。十七絃筝の発明者。






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