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2016年09月12日

受賞者インタビュー(4) 情熱のフラミンゴ・島村和秀さん(グランプリ・脚本賞)

―グランプリ・脚本賞の受賞おめでとうございます。今のお気持ちはいかがですか?

島村 ありがとうございます。あまり賞をもらった経験がないので、せんがわ劇場さんに箔をつけていただき、意気揚々としています(笑)。



―情熱のフラミンゴという団体について教えていただけますか?

島村 ダンサーの服部未来(MIKI the FLOPPY)、映画作家の川本直人と演劇を作るボクの3人が主となって活動する制作ユニットです。結成当初の情熱のフラミンゴはアンデパンダンな組織で、個人で活動する作家や俳優と繋がって協力し合うためにあったんです。なので、誰がメンバーで、どんな理念があるということはなかったのですが、「西調布一番街つくるまちプロジェクト」(※)に参加して西調布でアトリエを借りたのをキッカケに、アトリエの家賃を支払うメンバー3人が主体の組織になりました。

情熱のフラミンゴって演劇×映画×身体表現それぞれの見地から、それぞれのワークを協力したり、監視するシステムができていて。今回の公演で言えば、服部さんがドラマターグとして、情熱のフラミンゴらしい物語や演出の色をつけてくれて、川本さんは、劇場空間でのフレーム感覚について映像的視点で色々アドバイスしてくれました。

※「街ぐるみでアートを育むまち」をコンセプトに、京王線西調布(調布市上石原)で展開するまちづくりプロジェクトhttp://tsukurumachi.tumblr.com/




―3人で創り上げるということですか?

島村 いえ、基本的には企画によっての個人作業になります。3人ですることはあくまで協力と監視。もちろん、人によって何をどの程度求めるかは違うのですが、僕は川本さんから表現する上での姿勢とか哲学的な刺激をもらって、実際的な協力を服部さんに求めるということが多いです。なんというか、説明の難しい団体ですけど、アーティストが所属する事務所とか制作会社だと思っていただければいいと思います。

劇団って名乗っちゃった方が手っ取り早いんじゃないかとも思うんですけど、みんな飽きっぽいので、思い立ったらオールジャンルの制作ができる情熱のフラミンゴはすごく気楽でいいんですよね。劇団として演劇を考えると、どうしても「演劇」を注視しすぎて、徐々にフォーカスが合わなくなってしまう。アトリエに来ていただければわかると思うのですが、部屋の中にはダンス用の大きな鏡があって、演劇で使う小道具が転がり、フィルムの断片が散らばる机の上にはドンッとスプライサーが置かれている。あと、冷蔵庫の中には大量の酒。そういうカオスな空間に身を潜めている方が、風通しが良い気するんです。アジアっぽいっていうのか、ニューヨークっぽいっていうのか、なんだろう、もういいか(笑)。

―応募されたのは今回が初めてですか?

島村 はい、初めてです。せんがわ劇場の演劇コンクールのことは知っていたのですが、審査に落ちるのが怖くて……、見て見ぬ振りをしていました。でも、情熱のフラミンゴで「たづくりアートフェスティバル」に参加した時、服部さんがコンクールのことを聞いたらしく背中を押してくれたんです。それですぐ企画書を書いて、締め切り2日前になんとか応募しました。

―脚本賞もお取りになりましたが、脚本としての狙いは。

島村 一つは、劇場空間すべてが物語になる設定を作るということ。劇場公演が初めてだったので、空間全てを使い切れるか不安だったんです。なので「卒業公演を制作する」というメタ構造を用いました。もう一つの狙いは、「夜は墓場で運動会」です。今回の登場人物は妖怪ではなく人間なのですが、普段の生活じゃ見えずらいヒトやモノを取り上げるのが好きなんです。

―講評では近未来SF作品としての評価もありました。

島村 SFっていう設定はもともと服部さんが突然言い出したアイデアです。『きれいなひかり』では両腕を前に放り投げ出すような、ダラダラした姿勢の演出したのですが、当初そのアイデアを服部さんに話したら、「じゃあ、SFだね」って。近未来という設定にすることで“進化した身体”という必然性が生まれる。そういうことを見越してのことなんだと思います。

審査会で好評だった警備ロボットが舞台外を通過していく音は結構もめたんですよ。服部さんは「竹屋、竿だけー♪」という音にしたいと言ったのですが、僕はもう少し足音に聞こえる音がいいと思っていたんです。それを間に座って聞いていた音響・選音の浜田さんが「どっちの気持ちもわかる」と言って、しばらく経って持ってきたのが「エイサ、エイサ」という掛け声でした(笑)。

SFという設定で困ったのは、照明の平さんかもしれないです。やはり、機材ってデジタル技術の進化に応じてるので、近未来の劇場にあるであろう照明を、今用意できる機材で見せるのは物質的に難しいんですよね。なので、機材面は設定でフォローしながら、アナログ感、原始感に重きを置いてデザインしてもらいました。



―稽古はどのようにやっていたんですか?

島村 稽古場では社会性のある演技をテーマにしていました。例えば好きな人に彼氏がいるか尋ねる場面があったとしたら、自分の好意が悟られないよう慎重に、重くなりすぎないよう、チャラチャラしないよう絶妙なバランス感覚をもってコミュニケーションするじゃないですか? そういった社会性を台詞毎に共有しあっていました。

あと、登場人物の設定が「だめな学生」なので、とことんまでだめになりきろうと、僕と出演の坂口くんと秋場くんで毎晩飲みにいっていました。起きたら「ここはどこ?」ということは数え切れないほどありました。それに出演の岡部さんは遅れて登場する役だったので、よく遅刻をしていたような気がします(笑)。とまあ、みんな役に対してはそれなりに気を使ってくれていたんだと思います。

ただ、稽古も佳境になってきて「ダメな学生」を作り込むのに力尽きてしまったことがあって。お金がなくなるわ、仕事に遅刻するわ、プライベートも問題続出で日常生活に支障をきたしてきた。そこで意を決して稽古後の飲酒を禁止したんです。そしたら服部さんが、菩薩のような顔で「いや、ここで止めちゃったらもったいないよ〜。落ちるとこまで落ちて、絶望の淵を見てきなよ〜」とのたまう。なので最後の方の稽古は、不安と戦いながら魂を削るようにお酒を飲んでいました。

―三冠は狙い通りでしたか?

島村 もちろん賞が取れるような作品を作ろうと全力を出していましたが、正直狙い通りなんて余裕はなかったです。ただ、予算がほとんどなかったので、ここで賞を取れないと誰にも顔向けできないというプレッシャーはありました。

―「情熱のフラミンゴ」の活動は長いんですか?

島村 2年前に結成したので長くないです。小さな作品も合わせると、演劇は情熱のフラミンゴで5作品くらい作りました。

―西調布に拠点を持つきっかけは?

島村 東京で演劇をやっていくというのは困難なことが多く、なかでも稽古場が無いというのが大きい問題なので、稽古もできる拠点が欲しかったんです。

―商店街の町興しイベントとか参加されるんですか?

島村 町興しになっているかはわかりませんが、週に一回、服部さんとボクでダンスや演劇の子供向けワークショップを開催しています。街と自分たちが有益な関係で共存していけるよう頑張っていけたらと思っています。

―これからの活動について聞かせていただけますか?

島村 今回初めて劇場で公演をしてみて、すごく楽しかったんです。お客さんが作品に集中できるような環境ができていて、楽屋にはシャワーもある。なので、アトリエや小さなギャラリーで試行錯誤しながら、劇場での公演を増やしていきたいと思います。

―来年の5月に受賞公演ですが、構想は何かありますか。

島村 まだありません。ただ、次の公演では改めて“情熱のフラミンゴ”という団体が持っている、魔球みたいなものを用意できたらなと思っています。






■情熱のフラミンゴ https://www.facebook.com/flamingoofpassion/

写真撮影:Koji Ota


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