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2016年06月21日

サンデー・マティネ・コンサートVol.160 「世界の楽器シリーズ<三味線~江戸のはやり唄>」 終演後インタビュー


サンデー・マティネ・コンサートVol.160は、世界の楽器シリーズとして「三味線~江戸のはやり唄」をお届けしました。
三味線はこれまでにも登場したことがありますが、端唄や俗曲を集めてお聞きいただくのは初めてのこと。しん、と畏まって聴くというより、客席もどこかリラックスしたムードで、いつもと一味違うサンマチになりました!
終演後、柳家小春さんにお話を伺いました。

サンデー・マティネ・コンサートVol.160 「世界の楽器シリーズ<三味線~江戸のはやり唄>」 終演後インタビュー
―お疲れ様でした!小春さんは、じつはJAZZ ARTせんがわにはずっとご出演いただいているアーティストなので、せんがわ劇場はよくご存じだと思うのですが、サンデー・マティネ・コンサート(以下サンマチ)にご出演になったご感想をお聞かせいただけますか?

柳家 (JAZZ ARTせんがわでも毎回サンマチがあるので)見たことはあるのですが、自分が出るのは少し不思議でした(笑)
皆さん、とても興味を持って聴いてくださっていたので、やりやすかったですね。いい緊張感があって、よかったです。

―今日は途中で糸が切れるというアクシデントがありましたが「時々あるんです」とおっしゃりながらさらりと糸を張り替えて、何事もなかったように演奏を続けていらっしゃいました。そんなにあることなのですか?

柳家 演奏前には必ず張り替えて、切れないように準備します。一番高い音の糸はとても細いので・・・でも、そうめったに切れないですよ。今日は何で切れたんでしょうね?たまたま切れやすい部分だったのか、ライトの関係か、お天気の関係か・・・。でも、替えの糸は必ず用意していますから。



―お客さまも、あれでふっと緊張がゆるんで、あたたまった感じもありましたね。最後の曲は、勢いもあって、楽しい雰囲気が場内いっぱいに広がって、とてもよかったです。

柳家 そう、よかったですね。私はふだんはもっとくだけた感じで演奏するんですが、サンマチの場合は皆さんに少し知識を持って帰っていただいた方がいいのかな、などと考えて、私自身も最初はちょっと「お勉強モード」というか、緊張していたんです。楽器の解説もしなくちゃ、とか。

―いろいろとお願いしてしまって、すみません。

柳家 ・・・と思っていたんですけど、最後はプログラムにない流れになっちゃいました(笑)

―それが楽しかったです。ところで、私たちは日本人でありながら、日常では西洋の音楽を聴く方が多かったりしますね。私は今日のプログラムでも知らない曲の方が多かったのですが、なぜか、何となくしっくりくる。袖で音楽コーディネーターの松井先生と「やはり血肉というかDNAに根ざしているのでしょうか?」と話していました。

柳家 不思議ですよね。小さいころからそういう(邦楽に親しむ)環境じゃなくても、何かどこか「来る」というか。

―それから、民謡と端唄の比較のお話がとても興味深かったです。
民謡では、三味線は唄に寄り添い、活かすように伴奏する。いっぽう端唄の場合は、唄のメロディとは別に三味線のメロディがあって、それぞれが絡み合い、時に不協和音を奏でながら進んでいく・・・唄と三味線の関係性も、いろいろあって面白いですね。
それにしても端唄は、唄と三味線、二つのメロディを操るという、とても高度なことを実にさりげなく、リラックスした風情でやってしまうところがすごい!と、松井先生と二人で盛り上がってしまいました。
大変だと思うのですが、最初のころは、こんがらがったりしませんでしたか?


柳家 それはやっぱり、難しいです。

―そうですよね、難しいですよね!

サンデー・マティネ・コンサートVol.160 「世界の楽器シリーズ<三味線~江戸のはやり唄>」 終演後インタビュー
柳家 はい。身体で覚えるというか、譜面を見ながらではなかなかできないですよね。譜面はあるけれど、譜面ではできない音楽というか、音を聴いて「ずれ」もまるごと覚え込んでいくという感じ。そして演奏していくうちに、自分のものになっていく。仕込んでから熟成するまで、というんでしょうか、自分のものにしていく時間が、けっこうかかりますね。だからこそ、やっていて楽しいというか、やりがいがあります。

―譜面の通りにやればいいということではなく、自分の耳で聴いて、身体に取り入れて、表現する、というプロセスは、非常にライブ感があるという気がします。これは、JAZZ ARTで演奏なさっているような即興音楽にも通じるところなのかな、と想像したのですが、どうでしょうか。

柳家 確かにそう・・・今だから言えるんですが、確かにそうです。
古典を勉強していた時は、まず決まったものをめざしていく。それが即興演奏の世界を知り、少しずつやらせていただくようになると、ものすごく古典にかえってくるんです。
即興演奏の、空気を感じて音を聴いて、その場で自分で表現するという経験を重ねることで、古典の曲をやっている時も、いろんな空気を感じられるようになってきた。それまではやっぱり、決まった曲を決まったようにやらなくちゃいけないと思っていました。

―即興演奏で培ったものが、また古典にフィードバックしていく。だんだん演奏が豊かになりますね。

柳家 そうですね。

―今日聴かせていただいていて、今のお話はとても納得できます。

柳家 うれしいです。

―本当にありがとうございました!


少女のような声とふんわりした話し方。粋な小唄を聴かせてくださる小春さんですが、実は歴代のJAZZ ARTせんがわのチラシのイラストはすべてこの方が描いていらっしゃるのです!(イラストレイターの時のお名前はイソノヨウコさん)コンサートのお客さまもびっくりでした。この多面性が、実に魅力的なんですね。今年のJAZZ ARTせんがわにも出演予定です。9月にまたお会いしましょう!

サンデー・マティネ・コンサートVol.160 「世界の楽器シリーズ<三味線~江戸のはやり唄>」 終演後インタビュー
昨年のJAZZ ARTせんがわ2015のチラシ。今年もお楽しみに!




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