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2017年02月08日

「海外戯曲リーディング」佐川リポートその5

佐川リポートその5は、オーストラリア「ノームとアーメッド」についてです。

戯曲は、アレクサンダー・ブーゾの作。今回の7作品では最も古い1968年のものですが、オーストラリア演劇史の一ページといえる著名な作品です。というのも、オーストラリアには「白豪主義」と言われる有色人種への差別政策がありますが、当時その問題を真正面から扱った演劇は革新的だったからです。オーストラリアが抱える多くの問題が描かれているこの作品を理解することは「20世紀オーストラリアの歴史」に触れることでもあるでしょう。

登場人物は、オーストラリアの労働者階級の中年男性ノームと、パキスタンからの留学生で理知的なアーメッドの対照的な二人。その二人が、それぞれの人生、価値観を語り合いながら、関係を探っていく濃密な会話劇です。この芝居は、「肌の色の違う二人が演じる」のが大前提なので、日本では実際に上演するには高いハードルがあります。そう考えると、今回のリーディング上演は、この作品を紹介するうえで適切といえるかもしれません。

演出の日澤雄介さんは、リアリティのある骨太な会話劇で、数々の演劇賞を受賞。時代を席巻している劇団チョコレートケーキの主宰であり、演劇界のトップランナー。稽古場でも、俳優の内面に働きかけながら、非常に繊細に場面を作り上げます。観客の感性を刺激するような空気感が伝わる演出は流石です。「これぞ、本格派リーディング」というようなストイックな上演になりそうです。







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  • 2017年02月08日

    「海外戯曲リーディング」佐川リポートその4

    今回は、パレスチナ「いつも同じ問題」について。

    作家はイハッブ・ザハダァ&イエスシアター。イエスシアターはパレスチナの劇団。パレスチナというと「中東の火薬庫」とも言われ、複雑な地域という印象がありますが、この作品は、コメディのような不思議なテイスト。

    あるアパートの庭にゴミがうずたかく積もっている。そのアパートの住人である3人が「このごみをどうするべきか?」と、けんかを始めます。その状況がどこかユーモラスでありながら、どの登場人物もどこか誇張されていて、その歪な世界観が現実と重なる寓話的作品です。

    演出は、せんがわ劇場演劇コンクール出身者で、京都で活動している「劇団しようよ」の大原渉平さん。彼は、今回の7人の演出家の中では最も若いうえ、演出助手にも同じ京都の若手、本間広大さん。この京都若手タッグで仙川に滞在しての創作です。
    大原さんの演出で特徴的なのは、「どうやったら、面白くなるか?」と俳優と意見交換しながら、稽古を進めていくところ。俳優さんたちも積極的にアイデアを出しながら進める稽古場は、ある種の一体感が生まれています。今回の7演目の中でも、かなり意欲的な演出に挑戦していて、若いながらも臆することのない新世代の演出家だなと思います。

    小劇場界注目の俳優さんの参加もあり、パレスチナへの固定概念を覆してくれる化学変化がありそうです。新しいものを感じたい方はぜひ!




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